とある魔術の禁書目録 二次創作 22
一方通行が膝をついたフロアには巨大な棚が整然と立ち並んでいる。棚には大小様々な容器。その中には得体の知れない粉末や液体、植物が入っているものもある。
第三階層 薬物貯蔵庫。
能力を開発するために世界各地から集められた薬物類がこのフロアに集められているのだ。決められた量、決められたペース、決められた方法で投与されれば人体に悪影響を及ぼすことなく能力開発を行うことができる。
それらだけでなく、従業員や検体のために貯蔵してある数々の医薬品も。
しかし、燃焼という化学反応によって薬物はそれまでとは全く別の性質をもった物質になり得る。場合によっては燃焼させて気化したものを吸入することで毒にもなるものが。
今、一方通行の身を襲っているのはまさしくそれだった。
ゲオルクは既に一方通行と十分な距離を取ってガスマスクで毒から身を守っていた。このフロアには今の様に何らかの形で薬物が漏出した場合に備えてガスマスクが備えてある。
一方通行は膝をついた右足に力を込めて立ちあがると、地面を蹴りつけて飛び出した。毒ガスが充満した範囲から逃れる為に。
しかし立ち止った先も煙が漂っていた。チロチロと毒々しい緑色の光を放つ炎も見える。
(チッ。フロア中を毒で満たしやがったっつーのか?)
無意識に許容してしまっているならば意識的にベクトルを操作し、反射することも出来るだろうが、そのためには反射するための毒をまず解析しなければならない。自分が何の毒に侵されているのか、分からなければ操作のしようがない。
(広範囲に毒をばら撒いたのなら自分も毒でくたばらねェようにマスクや酸素が必要になる。とにかくヤツを見つけ出さねェことには事態は引っ繰り返せねェな)
一方通行は敵をあぶり出すために最も簡単な方法を選んだ。近くの棚に手をかけると、思いきり投げ倒したのだ。
異常なほどの力で飛ばされた棚はいくつもの棚にぶつかり押し倒していく。やがてフロアの棚はドミノのように続々と倒れていった。いくつもの棚が崩れ落ちる音、数えきれない瓶が割れる音、鉄がひしゃげる音が空間を揺さぶった。その中で、
「会いたかったぜ発火能力者」
他に比べればある程度開けた場所で、のしかかる棚を逃れてガスマスクで顔を覆ったゲオルクは膝をついていた。肩が上下していることから迫りくる鉄の雪崩から苦労して脱出してきたらしい。
「悪ィが時間かけてらンねェからよ。さっさとくたばりやがれェ!」
一方通行はゲオルクの姿を見とめると間髪入れずに両手を突き出して飛び出した。地獄への最短コースへとエスコートする為に。
しかし、どういうわけか目の前にいた発火能力者に触れる前に一方通行の身体はガクンと崩れ落ち出した。
前後はどこか?左右はどちらか?そもそも自分はどうやって立っていた?つい先程まで当然のように、今まで理解していたはずの世界が一挙に崩壊したのだ。
元凶が何なのか、それを知る術を一方通行は持ち得なかったが、自身に一体何が起こったのかははっきりと分かる。
一方通行の演算を補助するためのチョーカーがその力を失っていた。
目次へ
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SS23へ
________________________________
やや短めですが終了。
とりあえずそのまま続けてましたがちょいと編成に変更点ができました。
明日辺りに修正しとくとしましょう。
内容に直接関わる変更ではないのでご安心ください。
さて、一方通行は毒で満たされた空間のど真ん中、やっとゲオルクを見つけ出したと思えばとどめを刺す直前に大ピンチで御座います。
ところで一方通行って気化した毒の反射って出来るんですかね?
ミサカ10032号と闘ったときはオゾンと分かっていながらも反射してませんでしたし。
酸素とオゾンとか同じ原子でできているものは反射し分けることは出来ないのかもしれませんねぇ。
貯蔵庫内の薬物ですが当然私の思いつき。
作中に幾つか薬物の名前は登場してましたが検索かけても何も出てこないし、医療薬物でも気化したものを吸入するとどんな影響があるか、なんてどうやって調べりゃいいのかサッパリ分かりませんでしたからね。
しかし中世の魔女たちも薬物を使うことで幻覚を見たりトランス状態になったとか。
いわゆるハーブや麻薬みたいなもんです。
アーネンエルベの貯蔵庫にも、かつて魔術師たちが使用していた怪しい薬物がいくつも眠っていたのかもしれませんね。
第三階層 薬物貯蔵庫。
能力を開発するために世界各地から集められた薬物類がこのフロアに集められているのだ。決められた量、決められたペース、決められた方法で投与されれば人体に悪影響を及ぼすことなく能力開発を行うことができる。
それらだけでなく、従業員や検体のために貯蔵してある数々の医薬品も。
しかし、燃焼という化学反応によって薬物はそれまでとは全く別の性質をもった物質になり得る。場合によっては燃焼させて気化したものを吸入することで毒にもなるものが。
今、一方通行の身を襲っているのはまさしくそれだった。
ゲオルクは既に一方通行と十分な距離を取ってガスマスクで毒から身を守っていた。このフロアには今の様に何らかの形で薬物が漏出した場合に備えてガスマスクが備えてある。
一方通行は膝をついた右足に力を込めて立ちあがると、地面を蹴りつけて飛び出した。毒ガスが充満した範囲から逃れる為に。
しかし立ち止った先も煙が漂っていた。チロチロと毒々しい緑色の光を放つ炎も見える。
(チッ。フロア中を毒で満たしやがったっつーのか?)
無意識に許容してしまっているならば意識的にベクトルを操作し、反射することも出来るだろうが、そのためには反射するための毒をまず解析しなければならない。自分が何の毒に侵されているのか、分からなければ操作のしようがない。
(広範囲に毒をばら撒いたのなら自分も毒でくたばらねェようにマスクや酸素が必要になる。とにかくヤツを見つけ出さねェことには事態は引っ繰り返せねェな)
一方通行は敵をあぶり出すために最も簡単な方法を選んだ。近くの棚に手をかけると、思いきり投げ倒したのだ。
異常なほどの力で飛ばされた棚はいくつもの棚にぶつかり押し倒していく。やがてフロアの棚はドミノのように続々と倒れていった。いくつもの棚が崩れ落ちる音、数えきれない瓶が割れる音、鉄がひしゃげる音が空間を揺さぶった。その中で、
「会いたかったぜ発火能力者」
他に比べればある程度開けた場所で、のしかかる棚を逃れてガスマスクで顔を覆ったゲオルクは膝をついていた。肩が上下していることから迫りくる鉄の雪崩から苦労して脱出してきたらしい。
「悪ィが時間かけてらンねェからよ。さっさとくたばりやがれェ!」
一方通行はゲオルクの姿を見とめると間髪入れずに両手を突き出して飛び出した。地獄への最短コースへとエスコートする為に。
しかし、どういうわけか目の前にいた発火能力者に触れる前に一方通行の身体はガクンと崩れ落ち出した。
前後はどこか?左右はどちらか?そもそも自分はどうやって立っていた?つい先程まで当然のように、今まで理解していたはずの世界が一挙に崩壊したのだ。
元凶が何なのか、それを知る術を一方通行は持ち得なかったが、自身に一体何が起こったのかははっきりと分かる。
一方通行の演算を補助するためのチョーカーがその力を失っていた。
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やや短めですが終了。
とりあえずそのまま続けてましたがちょいと編成に変更点ができました。
明日辺りに修正しとくとしましょう。
内容に直接関わる変更ではないのでご安心ください。
さて、一方通行は毒で満たされた空間のど真ん中、やっとゲオルクを見つけ出したと思えばとどめを刺す直前に大ピンチで御座います。
ところで一方通行って気化した毒の反射って出来るんですかね?
ミサカ10032号と闘ったときはオゾンと分かっていながらも反射してませんでしたし。
酸素とオゾンとか同じ原子でできているものは反射し分けることは出来ないのかもしれませんねぇ。
貯蔵庫内の薬物ですが当然私の思いつき。
作中に幾つか薬物の名前は登場してましたが検索かけても何も出てこないし、医療薬物でも気化したものを吸入するとどんな影響があるか、なんてどうやって調べりゃいいのかサッパリ分かりませんでしたからね。
しかし中世の魔女たちも薬物を使うことで幻覚を見たりトランス状態になったとか。
いわゆるハーブや麻薬みたいなもんです。
アーネンエルベの貯蔵庫にも、かつて魔術師たちが使用していた怪しい薬物がいくつも眠っていたのかもしれませんね。
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