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とある魔術の禁書目録 二次創作 20

 一方通行はイライラしていた。ベクトルを操作することで傷一つ負うことなく汚れもつくこともないが、やはり自分目がけて様々な物が降ってくるというのはあまり楽しいことではない。これでも一応人間なのだ。
 倒れた棚を蹴散らしながら姿を現す一方通行を睨みながらゲオルクは思案していた。

 (精神、空間移動はハナっからありえねぇ。念動力っぽくもねぇし。発火、発電の類でもねぇ。気流、風力操作でもないのは本人が言った。床を砕いたり、落下物を喰らっても焼かれても傷一つ無いとなるとアイツみてぇに何らかの形で攻撃を自動的に防御できる能力ってわけだ。こいつぁ面倒な相手にぶつかっちまったらしいな俺は)

 学園都市から来たレベル5相当の能力者、という推測が正しければ、今までの戦闘を考慮すると最早ゲオルクにはたった一つの能力しか思いつかなかった。
 話には聞いていた。外部からの害となる影響を一切受けることの無い、できることならば相手をしたくなかった最凶の能力。

 「一方通行(アクセラレータ)かよ」

 目の前の男は答えず、ただ嘲笑を張り付けていた。ゲオルクの言葉にわざわざ答える必要などない、とでも言うかのように。

 「ついてねぇな。誰かと思えば学園都市レベル5第一位か。どうりで何も効かねぇわけだ」

 「今更分かったかよ発火能力者。折角のオツムが役に立ってねェなァ?てめェは自分の脳みそまで焦がしてンのか?」

 「さすが第一位様は頭の回りが速ぇ上に舌までよく回んのか。お喋り好きなその口、利けなくしてやるぜ?」

 ゲオルクは両手を勢いよく左右に広げ、暗いフロアの闇さえ焦がすような炎を放った。今までのように敵を直接焼き払うのではなく、一方通行を取り囲む灼熱の壁を築き上げる。
 ゲオルクが狙いは至ってシンプルで小学生でも分かることだった。

 炎による酸素欠乏と二酸化炭素の発生。

 人間を単純に窒息させれば30秒ほどで急性呼吸困難、痙攣を引き起こす。一分以上経てば意識を失い仮死状態となる。さらに進行すれば助かる見込みはない。
 二酸化炭素はありふれた物質だが、空気中の濃度が高まると突然人体に牙を剥く。3~4%を超えると頭痛、目まい、吐き気。7%を超えると意識を消失。この状態が継続されれば麻酔作用によって呼吸中枢が抑制され呼吸が停止、死を迎えることになる。

 「こっからなら天国よりも地獄の方が近いんじゃねぇの?」

 シンプルな攻撃でも常人なら間違いなく絶望的状況であるはずだった。だが、一方通行は心底呆れたような顔を見せると、たったの一歩踏み出しただけで炎の壁を突き破り、酸欠と二酸化炭素の牢獄から飛び出した。触れるもの全てを破壊し尽くす手をゲオルクに向けて。

 「発火能力者が考えそォなことぐらい分かり切ってンだよザコがァ!」

 ゲオルクは小さく舌打ちをすると横へと跳んで一方通行の手から逃れた。触れられてはならない。ほんの一瞬でもそれを許せば身体を巡るあらゆるベクトルを操作され、棺桶に簡単に収まる身体ではなくなってしまうだろう。

 「やっぱそう簡単にはいかねぇかよ」

 一方通行はまるで竜巻のように周囲を破壊しながらゲオルクを攻め立てた。
 足が振り降ろされれば床を砕き、手が棚にかすればその部分を吹き飛ばす。激しく揺れる棚から落ちた瓶は次々と落下して床にプロのアーティストにしか理解できない絵のような跡を残した。
 傍目から見ても一方的な闘いで、ゲオルクは辛うじて逃げ延びているかのようだが、一方通行は違和感を感じていた。
 時折こめかみにチリチリとした痛みが走っていたのだ。よくよく彼の攻撃を見てみれば強度にはブレがあり、操作したはずのベクトルもやや散漫になっている。

 (地下に降りたせいで受信状態が悪くなってンのか。いや、クローンが先に降りてたはずだ)

 ミサカ10840号がこの作戦に参加したのは上条救出と爆弾の設置の為だけではない。一方通行がフルに能力を発揮するための地下のアンテナ役になるためでもあったのだ。
 単に地下にいることが痛みの原因ではない。他の何かが電磁波の送受信を阻害しているらしい。

 (完全に邪魔しきれてねェとなると俺の能力を潰すためっつーワケでもなさそうだな。となるとクローンの方で電磁波に関わる何かが起きてやがンのか。直接的にしろ副次的にしろ、何らかの形で電磁波に干渉するタイプの兵器か能力者にぶつかったって考えンのが妥当なトコだろうな。バッテリーのことも考えりゃァ結局さっさと終わらせた方がイイってことに変わりねェ)

 ふと一方通行は手を止めた。ゲオルクの姿を見失ったのだ。辺りは割れた瓶から立ち上った粉末の煙で1mほどしか先が見えない。その向こうでおぼろげに残り火が瞬いているのが見える。
 しかし一方通行が手を止めた理由はそれだけではなかった。
 奇妙な刺激臭を嗅ぎ取った直後、突然目まいが一方通行を襲ったのだ。さらには頭痛も、手足に痺れさえも感じる。

 (毒か?一体どンな?いつの間に?)

 力を失いガクリと片膝をついた一方通行は周囲を改めて見回し、理解した。何故もっと早く気付かなかった?

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________________________________
どうもどうもやっとこそ試験が終わりました。
この試験に関していくつか言ってやりたいことがありますけどまぁそれはまたの機会に。
SSはところ変わって一方VS発火。
圧倒的な能力を誇る一方通行に対して発火がとった手段とは?
しかしレベル5の発火能力者って実際のところどんな能力なんでしょうね。
御坂さんだったら発電のみならず電磁場の操作や知覚もできるようですけど、発火の場合は?
熱量の把握ぐらいは出来るかもしれませんがぶっちゃけ火を出すぐらいしか思い浮かびませんよね。
いや、一方さんと闘わせるのマジムズい。一方さん強過ぎ。
お勉強も終わったことだし頑張って執筆するつもりですけど、いかんせんまだストーリーが不確定な部分が多いんですよね。
結末は決めてますけどそこに至るまでのプロセスがね。
どうやったら矛盾をなくせるかとかどんな風にするのが自然なのかとか。
この作品、まだまだ終わる見込みがありません。
こりゃSS終わる前に読者が飽きるかもな。
怖い怖い。
ところでもう20まできたし、そろそろまとめ記事的なの作った方が良いかな?
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