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とある魔術の禁書目録 二次創作 6

行間

 シュテファン・マイヤーは受け取った学園都市のスパイから送られた資料に目を通していた。
 
 SYSTEM

 神ならぬ身にて天上の意思に辿り着くもの

 絶対能力者

 原石

 多重能力

 暴走能力者

 やはり目ぼしいことは何も書かれていない。盗み出せる情報などそんなものか。
 だからこそ計画し、それをやり遂げた。

 幻想殺し誘拐計画。

 学園都市においては正真正銘のレベル0。研究価値は皆無とされているが、彼が持つ能力はこの世に存在するあらゆる力の中でも極めて異質。腹の底では取り返したいに決まっている。
 他の誰も持ちえない力を持った彼を使ってより詳細な能力開発情報を提供させる。
 学園都市は依然レベル6を作り出すことができずにいるようだが、自分なら出来る。マイヤーはそう確信していた。
 学園都市からの限られた情報のみで、この研究所には既に数人のレベル5相当の能力者を作り出すことに成功している。しかも学園都市より早いスピードで。
 この研究所が学園都市と同等の能力開発情報を手に入れられれば必ず先にレベル6に辿り着ける。
 学園都市が情報提供を渋ったなら、それはそれで存分に幻想殺しを研究できる。
 そうなれば手始めにどんな実験を行おうか。そう考えると零れてくる笑いを抑えるのは難しくなってきた。
 マイヤーは読み終えた資料をトントンと整え机の隅へと追いやり、手を組んで宙を見上げる。

 彼の書斎にある、あらゆる書類のタイトルページには全て同じマークが印刷されている。
 そのマークは、ドイツの考古学者ハインリッヒ・シュリーマンがトロイの遺跡で発見し、古代のインド・ヨーロッパ語族に共通の宗教的なシンボルと見なした。元々の起源を追ってみれば、ヒンズー教徒達の幸福の象徴「スワスティカ」に行きつくが、現代においては歴史的経緯からドイツで公に使用すると法律によって裁かれてしまう。

 ハーケンクロイツ

 「鉤十字」である。

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というわけで本日分SS終了。
原作の雰囲気をできるだけ壊さないというポリシーのもと、今回は短い行間で御座います。
しかし明かされたのは驚愕の真実。
このSSを読んだ下さっている方はおそらく二次創作の検索サイトからいらっしゃった方が多いでしょうが、そうです。歴史的にも有名なある組織とはコレなんですよコレ。
マニアックな方なら先週の「アーネンエルベ」という単語だけで分かったと思いますけどね。
いやぁ創作と史実を絡ませるってのは実に楽しいね。
設定考えてるとテンションが上がって仕方ない。
いざ小説に書いてみるとめちゃムズいんですけど。
小説家ってな偉大だねぇ。

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