fc2ブログ

とある魔術の禁書目録 二次創作 4

 ビクトリア調の調度品を揃えた書斎の椅子の上で、シュテファン・マイヤー所長は手を組んで座っていた。この研究所はどこも無機質で彩の無い場所だらけだったが、自分だけのこの空間だけは、と家具は全て自分で調達したものだった。冷たい鉄製の本棚や机よりも、マホガニー製で様式美が整った家具に囲まれていた方がずっと落ち着く。何よりこの研究所にいる大部分の「人間」のように囚人の様な気分にならずに済む。

 彼は自分が有能な科学者であることを自負している。
 大学時代はザクセン州、ライプツィヒにあるライプツィヒ大学の医学部で学び、博士号を取得した。卒業後は病院に勤めることも考えたが、怪我人や病人を救うよりも学問への知的欲求が勝り、各地の研究所を転々としていた。あるところでは神経科学を研究し、またあるところでは脳科学を研究した。
 彼の研究所遍歴の中で学園都市の協力関係にある研究所に勤めた時期は特に刺激的だったことを覚えている。学園都市から提供される研究資料ははるかにグレードダウンされたものであると分かっていても、その内容には毎度驚愕させられたものだ。
 学園都市協力機関は学園都市の第三学区で定期的に催される、いわゆる研究発表会のようなものに数人に限り招待されるのだが、彼はそれに行ったこともある。
 このときほど「新鮮な驚き」というものを再確認したことは無い。従来の建築技術では築けないであろう建造物、魔法と呼ぶに値する工業技術、まさに神の御技とも呼ぶべき医療技術。当然それらでさえも外部の人間にギリギリ見せられるラインのものばかりではあったが、彼はただひたすらに感動した。専門外の領域であっても、それらがどれだけ高度なものかがよく分かる。
 学園都市は彼の夢になった。羨望の的だった。そんな夢の都市で彼が殊更に興味を惹かれたのは、他でもない。

「超能力」だ。

 学園都市の技術はあらかた見ることができたが、超能力については完全なブラックボックスだった。脳科学の論文をいくつか手にとる機会はあったものの、能力開発に関しては全く書かれていないか、書かれていたとしてもほんの当たり障りの無い内容ばかりだったのだ。
 どうしても知りたかった。学園都市がここまで隠し通そうとするとは、どれだけの価値があるのだろう?
 そんな彼のもとに、ある日、聞いたことも無い研究所から手紙が届いた。その内容を読んだとき、彼は神の存在を純粋に信じてみようかと思った。
 手紙にはこう書かれていた。

 「超能力の研究をして頂きたい」

 つまるところヘッドハンティングだ。彼は迷わなかった。聞いたことも無い研究所へ赴き、それまで知り得ていた超能力の資料に目を通し、整理し、超能力者の誕生に向けて動き出し、50歳を超え、今や所長という地位にある。

 机を挟んで目の前に立っている研究員の男が口を開いた。

 「幻想殺し(イマジンブレイカー)が目を覚ましました。現在、ブロムベルクがスピーカー越しに会話しておりますが、止めさせますか?」

 あの男は、また勝手に動きおって…と口をついて出てきそうになったが、彼は我慢した。

 「必要ない。好きにさせておけ」

 「は。ところで先日届いた学園都市の能力開発実験の内容ですが…」

 この研究所は独力で能力開発方法を発明したのではない。学園都市での研究資料を元にして、独自の方法を編み出していた。
 しかし当然、学園都市から友好的に「こうしてこうすれば能力者の出来上がりですよ」と親切に教えてもらったわけではない。研究所は学園都市にスパイを侵入させ、それを通して資料を手に入れているのだ。

 (必ず学園都市に追いつき、追い越してみせる・・・)

 学園都市への羨望は、遠い昔に対抗意識へと変貌していた。

目次へ
とある魔術の禁書目録SS3へ
SS5へ
________________________________
本日分SS終了。
敵の親玉の登場で御座います。
前もって言っておくとこいつの設定はこれで全てです。
これ以上の何かを期待しても多分何も出てきませんので。
明日はネギま!の立ち読みついで22巻も買ってこないとな。
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

カレンダー
03 | 2024/04 | 05
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 - - - -
FC2カウンター
カテゴリ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
プロフィール

ギッチャン

Author:ギッチャン
FC2ブログへようこそ!

RSSリンクの表示
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

アクセスランキング
[ジャンルランキング]
アフィリエイト
463位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
その他
93位
アクセスランキングを見る>>
twitter
FC2拍手
web拍手 by FC2
検索フォーム
Amazonウィジェット
リンク