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とある魔術の禁書目録 二次創作 28

 「ミサカ!!先に行け!」

 路地裏での一対一の喧嘩ならばもう少し心に余裕があっただろう。それなりの不幸な経験のお陰でそれなりの自信がある。
 しかし今回はあまりその余裕はなさそうだ。今目の前にいる相手には決定的に違う点があった。知識と技術という点において、相手は幼少のころからそれを叩きこまれてきたというのだ。まともに殴り合って勝てる見込みは無いだろう。
 それを理解している上条は、

 「うおおおおおおおおおおおおおお!!」

 前へと飛び出した。
 どうせ勝てはしない。ただの喧嘩でそんな相手に絡まれたりすればもちろん逃げるが、今回は避けられない理由がある。ならば相手がどれだけ強くとも、なんとしても闘わなければならない。そもそも怪我をした女の子の目があるというのに敵に背を向けるなど、あまりにカッコ悪いではないか。
 直後、ミサカも飛び出した。真っ直ぐフロアを抜ける扉を目指して。
 ヨハンは向かってきた上条に対し構えながら呆れた横目でミサカを見やった。

 「オイオイ救護対象じゃなくてそっち?」

 上条の拳から避けると膝を脇腹へと打ち込み、すかさず腕をガラス越しに通路を駆け抜けるミサカに向ける。

 「ぉのっ!」

 バランスも取れないし息も出来ないが、上条は下半身に力を込めて折れ曲がった状態からヨハンにタックルを仕掛け、揃って倒れ込んだ。
 照準が外れてレーザーはミサカには当たらず、その被害を被ったのは罪なきガラスと机らしい。
 上条はすぐさまヨハンから身体を離し、しゃがんだ状態からたまたま近くにあったイスに手をかけそれを振り上げる。

 「イスがお気に入りかぁ!?」

 倒れたままでいながらも、ヨハンは思い切り腰を捻って左足で上条の顔面を蹴りつけた。
 思わず顔を左へ背けたお陰で真正面には当たらなかったが、右頬に鋭い衝撃が走る。振り上げたイスも手から滑り落ちてしまった。
 痛みをこらえて目をヨハンに向けたときには既にしゃがみながら、次は右足を胸目がけて突き出した。想像以上の威力で身体が後ろへ吹っ飛び、同時に肺の少なかった空気がさらに吐き出される。酸欠も狙いの内なのだろうか。
 若干の目まいがするが、当然ヨハンは待ってはくれない。素早く立ち上がり、仰向けに倒れている上条に向かって走り出した。PK戦のサッカー選手がボールを狙うように。
 身体を転がして盛大なキックを紙一重で回避すると、左足を軸に、片足立ちのヨハンのふくらはぎへと足払いを放った。このとき、我ながら綺麗な足払いが出来たように思えた。
 が。

 「・・・・・・」

 これがプロとの差なのだろう。ヨハンは微動だにせず立っていた。右足を振り上げた状態で固まったまま、ついでに上条を見下ろして。そして口を開いた。

 「完璧なフォームで自信満々に攻撃したのに全然効いてないとかすごく恥ずかしいよねぇ?その気持ちすごく分かるわぁ」

 「うるせぇよチクショウ!!」

 言いながら上条はまたもや体当たりしようとしたが、ヨハンはこれも持ち堪え、上条の身体を異常な握力で掴むと、勢いよく放り投げた。一瞬ふわりと浮かんだのを感じたが、堅い床が上条の背中を優しく迎え入れた。痛みで全身の骨が悲鳴を上げた気がする。
 倒れた上条には目もくれず、ヨハンは辺りを見回した。もっと言えばガラスの向こうだ。
探し物は他と比べて顕著な電磁波を発しているためか、ゲオルクにはすぐに見つかった。60m程遠ざかったところにあるエレベーターの柱近くにミサカ10840号がいる。

 (動かして応援でも呼ぶつもりかぁ?それまで幻想殺しがもつと思ってんのかねぇ?)

 いずれにせよ支援など呼ばせるつもりはない。上条を放ってミサカが走り抜けた出口に向かった。現在の位置からでは何枚ものガラスの壁がミサカとヨハンを隔てている。屈折を繰り返して狙いが外れる可能性は否めない。扉の向こうには通路があり、エレベーターとそれを挟んだ二つの外周通路を真っ直ぐ繋ぐようにこの第八階層を貫いている。そこからなら今度こそ確実に撃ち抜くことが出来るだろう。
 通路に飛び出したヨハンに気がついたミサカはすかさず電撃を放った。当然ヨハンは黒い壁で造り出してそれを防ぐ。

 「こっち見ろ三下!!」

 痛む身体を無理やり動かし、上条も通路へ飛び出すとヨハンに殴りかかる。1秒でも時間を稼ぐこと、それが上条の役目なのだ。

 「ちっ」

 舌打ちをすると上条の右手を回避し、顎へとアッパーを突き上げた。同時に左足を少し上げると、上条の足の甲に叩き落とす。相手の死角から狙いやすくバランスも崩れるし動きも止まる絶好の急所だ。
 それでも上条はめげなかった。正直に言えば痛む個所を抑えて塞ぎこみたいぐらいだが、そんなことをする暇は無い。バランスが崩れるついでにヨハンの服を掴んだのだ。
 服に引っ張られるという予想外の抵抗に、ヨハンの身体が傾くと上条は踏みつけられなかった方の足を引っ込ませると、一気に伸ばしてヨハンの腹へと打ち付けた。
 足の裏で感じた腹の感触は非常に硬く、相手は倒れなかったが、揺れる視界の端で彼の顔が微妙に歪むのが見えた。

 「退いて下さい!!とミサカは声を上げます!」

 その声を合図に、倒れていた上条は先程までいたフロアと向かい側にあるフロアへと転がり入った。
 何事かとヨハンは訝った。応援を呼ぶのではないのか?真っ先に視界に映ったのは強力な電磁波の波だった。ミサカが今まで電撃を放っていたときよりも更に強い波が発生している。

 (まさか、電撃の強さを上げれば突破できるとでも思ったのかぁ?)

 右腕を遠くのミサカに向けて黒い壁を生み出したが、視界が壁に遮られる直前に目に入ったミサカの姿にギョッとした。一瞬だけだが、はっきり見えたのはエレベーターが設置されている柱から何本もの電線を伸ばし、その細い腕に巻き付けたミサカだった。研究所の上から下まで電力を供給する為のものだ。しかも目の前に鉄製の机が置かれている。この階層に幾つもある机の一つが。

 「電撃は防げても、これならあなたに届くでしょう、とミサカは机をぶっ飛ばします」

 幾筋もの電撃を全身から放っているミサカが両手を机に叩きつけた瞬間、轟音と共に高速で鉄の机が通路を飛び抜け、ヨハンの身体に激突した。

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________________________________
第五章はこれにてお終い。
ホントはこうはいかないんだろうなぁとか思いながらバトルを描いてました。
素人考えの死闘なんてこんなもんです。
御了承下さい。
次は行間を挟んで第六章に突入。
くどいですが全く進んでないので更新が止まるのもそう遠い未来ではないでしょう。
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