第一階層は既に制圧され、第二階層への侵攻が始まっていた。
第二階層は事務所や会議室などの施設が集まっている。白い壁に仕切られ、幾つもの扉が並ぶ通路を対外部専門の暗部組織「ライフル」は猛進していた。
勢いよく扉を開け、両手を上げて降参する職員は即座に組み伏せられ、抵抗する戦闘員は次々と「ライフル」の銃弾に倒れていった。
「現在第二階層の8割を制圧。完全制圧まで残り推定20分」
制圧部隊の隊長は他の隊員と同じく、警戒を怠ることなく銃を構えて歩いていた。地上部と第一階層での抵抗は熾烈だったが、第一階層でスタミナが切れたのか第二階層ではスムーズに事が運んでいた。予定よりも早く作戦を終えられそうだ。
しかし、そんな隊長の目の前に先程まで倒れては現れてきた装甲服を身にまとった戦闘員とは全く違う、着ているつなぎの袖を腰で縛った茶髪の少年が現れた。隊長は手を上げ隊員達を制した。正体不明の敵に無闇に攻撃するのは禁物だ。ここは超能力開発機関。場合によっては一方通行の様に銃弾を跳ね返すことができる能力者もいる可能性がある。
そんなライフルの面々を前に堂々と現れた男は口の端を釣り上げて一言だけ発した。
「残念でした」
少年がすかさず右手を振り上げた瞬間、地獄の業火がライフル達に襲いかかった。
灼熱は装甲服を貫き隊員達の肌を焼き、全身に燃える痛みが走る。全身から水分が蒸発していき肌が焦げ付き、灰になるのを感じた。
狙いを定めて引き金を引くことも出来ない。もはや指の感覚は無くなり考えることさえ叶わない。遠のいていく意識の中で彼らが感じることが出来たのは地獄の苦痛だけだった。
元は人間だった灰が積もる通路でゲオルクは佇んでいた。
大勢の敵を殺し尽くしたところで達成感など感じない。残るのは虚無感だけだった。殺しとはそういうものなのだろう。いつになっても変わらない。
「アーアーこりゃ派手に焼き払ったもンだなァ」
ゲオルクが目を上げるとそこには奇妙な風貌の少年がいた。
周囲の壁に負けないぐらいの白い髪と肌。その中で引き立つ深紅の瞳。左手でトンファーのような形をした杖をついている。こちらへと歩きながら、心底つまらなさそうな顔でだらだらと文句を呟いていた。
「チンケな研究所一つ潰すのに俺が出る必要もねェだろうって高みの見物決め込もうかと思ってたのによォ。どいつもこいつもあっさり灰になりやがって」
ぶつぶつ言いながら、およそ10mの間を開けて両者は向き合った。
間違いなくライフルの構成員ではない。もっと異質な、彼らよりもさらに深いであろう闇がいる。ゲオルクにはそう感じられた。
「誰だお前」
少年は凶悪な笑顔を作りあげた。
「悪党だ。見りゃ分かンだろ?」
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書いてるときは気付きませんでしたが全体的に「~た。」が多いですねぇ。
これまた下手くそ。申し訳ない。
まぁ処女作だし?
俺別に作家じゃないし?
こんぐらい良いよね?
はい、というわけでついに登場ですみんな大好き一方さん。
最後のセリフは私が是非一方さんに言って欲しかったセリフの一つです。
なんかちょっとカッコ良くね?
え?中二っぽい?
いいじゃない。そういう作品なんだから。
相手となるゲオルク・ダールマンの能力も明かされましたね。
ずばりパイロキネシスト(発火能力者)で御座います。
原作によりますとパイロキネシスは能力開発で最も発現しやすい能力の一つだそうです。
なら一人ぐらいレベル5いても良くね?ということでこの設定にしました。
火を出すという能力、戦闘序盤に登場しちゃう、というのはまた素晴らしく咬ませ犬フラグ。
しかしなんとか一方さん相手でも咬ませとは呼ばせないだけの戦闘が描けたかな、と思っております。
まぁ楽しみにしといて下さいよ。
戦闘描写はあんまり自信ないですけど。